MORE THAN BASKETBALL

全ての道はバスケに通ず

バスケの審判と会計監査の共通点

日曜日と建国記念日千代田区のバスケの試合があったので、両方審判をやる機会に恵まれた。自分の試合にほぼフル出場した後で体力的には少し厳しいが、審判をやることが一番の成長の糧となるので、それを逃したくない。毎試合、成長しているという実感はあるし、なんとなく自分の試合においてもポイントガードとして以前より周りが見えるようになったような気がする。審判は自分の試合と違って試合中に気を抜けるタイミングはほぼ無く、常にコート上のプレイヤーの動きに集中していないといけない。だからこそ、自分の試合のほうが余裕があるように感じるのだ。故に、審判をやることでコートビジョンが広がるのは自然なことかもしれない。中高生を教えている人は、優秀な選手にこそ審判を経験させるのは良いアイディアだと思う。コートの見方が、プレイヤーのそれと全く違うからだ。

 

ところで、2試合の審判を経験して気づいたことがあった。今の仕事は前の記事にも書いた通り会計監査なのだが、監査業務における根幹にあるリスクアプローチという考え方が、バスケの審判に応用できるということを知った。リスクアプローチは「不正・誤謬のリスクが高いところから確認していきましょう」というやり方で、クライアン卜の全ての取引における妥当性を抑えることは不可能であるという「監査の限界」に基づいている。具体的にいうと、売上・売掛金棚卸資産ビッグスリーは特に重要で、利益に大きく影響し、かつ不正の対象になりやすい勘定科目であるから、監査法人はその取引フローや妥当性について特に厳しいチェックを行うのだ。

 

一方バスケにおいては、2人の審判が10人の全ての動きを同時に把握するのは難しい。よって、「監査の限界」ならぬ「審判の限界」という前提に拠って立つべきだと考えられる。その上で、どこで不正(ファール)が起こりやすいのかを見定め(例えばゴール下やシュート前)、全体の状況を把握しながら、そのプレーにしっかりと注意を向ける。この割切りをしなければ、適切な笛を吹くことはまず無理だろう。そしてこの「どこが重要か」を見分けるトップダウンのアプローチを行う為には知識だけでなく、経験が必要になってくる。

 

「認知の限界を知った上で、勇気を持って割りきって、重要な部分に集中する。」これが会計監査とバスケの審判の共通項である。こういう共通項を見いだせるとなんかすごく嬉しい。会計監査の勉強は楽しいとは思わないけれど、こういう発見の為にもっと勉強するのもアリかななんて思う。全てバスケの為だけど。